ファシリテーションの教科書のまとめと具体的にやること
はじめに
こんにちは!某金融機関でスクラムマスターや開発エンジニアをやっている@damyo404です。
今回はスクラムマスターのスキルを高めるため、『ファシリテーションの教科書/グロービス 吉田素文』を読みました。
ディスカッションしようと会議招集されたものの、 イマイチな感じで終わってしまったり、逆に自分が開催する側になったときに 上手くできなかったなと後悔することがあったり。
今後そういったことを繰り返さないためにも、 本書はとても勉強になったのでこんな記事で時間を浪費せずに是非買って読んでいただけたらと思います。
本記事は書籍のまとめ、そしてファシリテーションの場(以下、会議とします)やその前準備で取り組むべき活動について考える2部構成でお送りします。
書籍のまとめ
ファシリテーションの本質
ファシリテーションというと、 会議等を上手く進行させたり小手先のテクニック感のイメージが先行するかもしれません。
しかしそうではなく、「引き出し、決めさせ、自ら動くことを助ける」この3点がファシリテーションの本質。
自ら考え自分で納得させる、ファシリテーションのスキルこそ、リーダーに求められるスキルなのではと述べています。
議論の目的
議論の目的は以下の通り。
- 決定内容の合理性を高めこと
- 決定プロセスの納得性を高めること
人間だもの、必ずしも1人で合理的な判断ができるとは限りません。また、決定に至るまでの過程をきちんと共有できることが目的という訳ですね。
仕込みとさばき
本書では、会議の前準備を仕込み、実際の会議での立ち振る舞いをさばきと呼んでいます。
全体像
流れは以下の通り。
- 議論の出発点と到達点をおさえる
- 場の目的の共有・合意
- アクションプランの理由の共有・合意
- アクションプランの選択・合意
- アクションの確認・共有
別途以下に注意する
- 議論すべき論点を具体的に把握する
- 参加者の認識、態度、特性を把握する
ポイントについて具体的に見ていきます。
議論の出発点と到達点をおさえる
よく会議のゴールを決めろとは言いますので、 この場が終わったときに参加者がどういう状態になっているのか考える人が多いと思います。
ただそれだけではなく出発点、つまり参加者が現状どのような認識レベルでいるのかを丁寧に掴む必要があります。
そのため、この議論が終わったら何がどのようになっている必要があるのか、いきなりこの話を初めて参加者に違和感はないのか、というのを徹底的に考える必要があります。
論点を具体的に把握する
よくわからない議論のファシリテーションをするのはかなり難しいです。
〇〇さんどうですか?となってばかりで議論の方向性をどのように持っていくべきなのか不明確なままファシリテーションをしてしまう。
それではダメで、専門家でなくともファシリテーターとして議論の内容をきちんと把握するべきとのこと。
そのためには、議題に対して事前に論点を出しまくる。 その後関連の高いものはグルーピングし、抽象度の高いものから具体的なものへ階層構造を作る。そしてどのようにすれば議論が活性化するのか考える必要があります。
こういったときにフレームワークが役に立つかもしれませんが、フレームワークの適切な使い方を理解せずに使ってはいけない。
また、専門家であると逆に議論に口出ししたくなるかもしれませんが、 そこは一歩引いてファシリテーターとして振舞うべきとのこと。
問題解決のステップ
最初になぜそうなのか、どうすればよいのか、といったWHYやHOWから始めると問題解決から遠くなる。
最初にWHERE、つまり問題に対してどのような傾向があるのかを掴みつつ、何が解決すべき問題なのか、なぜとどうすれば良いのかを考えていくべき。
それができたら、具体的なアクションプランの選択やアクションの実行といった流れに進める。
さばきについて
よく下手なファシリテーターが「ざっくばらんにどうですか?」みたいな的を得ない振り方をすることがあると思います。関係性が出来ていれば良いのかもしれませんが、聞かれた側としては戸惑ってしまうことは多いですよね。
そのため、「○○さん、○○の立場からすると反対意見かもしれませんがどうですか?」や「○○さん、入ったばかりのフレッシュな目線でどうですか」など一言添えるだけで回答のしやすさが変わってくる。
あとはあえて反対の意見を出せますか?なども有用とのこと。
訊く重要性
発言者の目を見る、うなづきや相槌などをして相手の意見を真摯にきく。 わかりづらかったら要約しつつまとめることが重要。
誰よりも論理的に
会話は意外と抜け漏れがあったりして論理性が欠けるもの。そのため、主張→根拠→結論や、前提→事実→結論といったステップが機能しているのかなど、演繹的、帰納的になっているのか頭の中で考える。
本書やそれ以外の情報から実際に取り組むことを考える
会議の前
準備は以下の順で取り組んでみる。
- 招集通知、オフラインなら各人の物理距離が3m以上とならない広すぎない場所を選ぶ
- 会議のテーマ・ゴールを考える
- 参加者の名前を書く
- 参加者それぞれのテーマの前提理解度や知識レベル、なぜこの場が開かれるのか理解しているのか書く
- テーマの論点を挙げまくる、抽象度高〜低へグルーピング化して階層構造にしてみる(使えるフレームワークあれば利用する)
- どうしたら議論が活性化するのか考えてみる。いきなり答えを考えるのではなくWHERE、問題の傾向は何なのかという点に注目して考える。
- 会議のテーマ、ゴール、アジェンダを展開する
実際の会議では以下に気をつけて取り組んでみる。
- 会議室の机などの配置を変える
- 関係性ができてない場合は軽いアイスブレイクの時間を設ける
- 最初にどういった理由で会議に呼ばれているのか、議題対して参加者がどのような関係性があるかを説明する
- 相手の話は相槌、目線、体の向きなどきちんと「訊く」
- 発言者の主張、根拠、結論のステップなど論理的なのか都度判断
- 分かりづらければ要約して確認する
- 事前準備した議論の活性化について話を広げてみる
- 発言が少ないメンバーに対しては「○○さん、○○の立場からすると反対意見かもしれませんがどうですか?」などと発言しやすい形で投げかけてみる